
【はじめに】「契約後に不具合発見!」が起きたらどうなる?

住宅を購入して数週間。
「水漏れしてる!」「雨漏り?」「壁にヒビが…」
購入前には気づかなかった問題(=瑕疵)が後から発覚した場合、
“誰が責任を取るのか?”が曖昧だと、泣き寝入りになるリスクもあります。
そこで重要になるのが、**契約時に定める「瑕疵担保責任」**という考え方です。
瑕疵担保責任とは?2020年以降の民法改正のポイント

かつて使われていた「瑕疵担保責任」という用語は、2020年4月の民法改正で**「契約不適合責任」**に統一されました。
▶ 瑕疵担保責任(旧用語)とは? 売主が知らなかった「隠れた欠陥」に対しても一定の責任を負うもの。
▶ 契約不適合責任(新民法)とは? 「契約で定めた内容に合っていないもの=すべて責任対象」とされる。
つまり、契約で“何をどこまで定義しているか”が非常に重要になっています。
対象となる“瑕疵”の具体例

「瑕疵」とは、“通常の注意では発見できない欠陥”です。
代表的なケースを以下に整理します。
分類 例
構造的欠陥 雨漏り、基礎のヒビ、壁の傾き、屋根の破損など
設備不良 配管の詰まり、水漏れ、給湯器や換気扇の故障
法律的問題 境界未確定、再建築不可、接道義務違反
周辺環境問題 土壌汚染、地中埋設物(浄化槽や廃材)、心理的瑕疵(事故歴など)
→ 購入者が「契約時に知らされていなかった」ことが大前提となります。
売主が個人か業者かで異なる「責任の範囲」

契約不適合責任の適用範囲は、売主が「宅建業者」か「個人」かで大きく変わります。
✅ 売主が宅建業者の場合
契約不適合責任は2年以上義務付け(特約で短縮不可)
買主保護が優先される
⚠ 売主が個人の場合
「責任を負わない」「期間を1ヶ月以内」など特約で免責可能
実際には「現況有姿(現状そのまま)引渡し+免責」契約が多い
→ 中古住宅では後者(個人売主)が大半。契約書の文言確認が重要です。
売買契約前に確認すべき5つのチェック項目

チェック項目 理由・確認ポイント
✅ 契約不適合責任の有無 「責任を負わない」条文が入っていないか、全文を確認
✅ 責任期間の明記 通常は3ヶ月〜2年。短縮されていないかをチェック
✅ 現況有姿の範囲 「修繕せずそのまま売ります」という文言の範囲を理解しておく
✅ 告知事項(告知書) 雨漏り・白アリ・心理的瑕疵などの記載があるか、虚偽申告がないか確認
✅ 付帯設備表・設備チェック エアコン・照明・給湯器などの動作確認と、引渡し後の対応範囲を確認
→ 可能ならばインスペクション(建物診断)+仲介担当者の説明録音もおすすめ。
トラブル回避のための具体的対策

▶ 個人売主物件を購入する場合
インスペクション(約5〜8万円)で建物状況を把握
「契約不適合責任を一部残す」交渉も可能(例:雨漏り・配管のみ3ヶ月間保証)
▶ 契約書・重要事項説明書は「専門家と一緒に読む」
仲介業者以外にセカンドオピニオン(FP・宅建士)を得るのも有効
“よくあるテンプレ文言”でも、本当にその意味を理解しているかが大事
【まとめ】“隠れたリスク”を契約前にどう防ぐか?

不動産売買は「契約を結んだら自己責任」の世界です。
しかし、契約前の一手間と確認が、将来の安心を大きく左右します。
✅ 「現況有姿」でも、“見えない不具合”に備えて契約条件を確認
✅ 売主の属性(業者 or 個人)で責任範囲が違うことを理解
✅ 重要なのは「価格」より「後悔しない条件設計」
価格交渉に気を取られて、リスク条件を見落とす――
そんな“本当の損”をしないために、「瑕疵担保責任=契約不適合責任」の正しい理解が必要です。



