
【はじめに】利回りを理解することは「防御力を高める」こと

不動産投資を始めるにあたって、必ず登場する指標が「利回り」です。
しかし、よく見かける「表面利回り6%」といった数字に飛びつくと、実際には赤字物件だったというケースも少なくありません。
この記事では、投資判断で最も重要な「利回り」について、表面的な数字の裏側にある本質的な意味と、正しい見方を解説します。
表面利回りとは?実質の収益を見誤る危険

表面利回り(グロス利回り)とは年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100
例: 購入価格2,000万円/家賃8.5万円(月)
→ 年間家賃収入:102万円
→ 表面利回り:5.1%
⚠ 表面利回りの注意点
管理費・修繕費・税金などは一切考慮されていない
空室リスク・原状回復コストも無視されている
→ 「満室前提+経費ゼロ」という非現実的な前提で計算されている
実質利回りとは?NOI・キャッシュフローとの関係

実質利回り(ネット利回り/NOI利回り)とは: (年間家賃収入 − 経費)÷ 物件価格 × 100
経費には、以下が含まれます。
管理委託費
共用部電気代・水道代(戸建て・一棟)
固定資産税・都市計画税
空室損(想定稼働率90〜95%)
修繕費・更新料・広告費など
▶ NOI(Net Operating Income)とは?
→ 純収益。利息・税金・減価償却・元本返済を除いた“運営上の利益”
→ NOI利回りこそが、本当の不動産の実力を表す指標です。
購入時にチェックすべき“利回りの数字”以外の要素

項目 チェックポイント
賃料水準 周辺相場と比べて高すぎないか?(=将来的に下がる可能性)
空室率 1年以内に退去予定がないか/過去の稼働率はどうか?
管理費・修繕積立金 高すぎて収益を圧迫していないか?
物件価格 仕入れ価格が高すぎないか?(=将来の売却損リスク)
立地 利便性/将来の再開発/人口動態など、中長期の安定性があるか?
物件種別による利回りの目安と傾向

種類 表面利回り目安 傾向と注意点
都心ワンルーム(築浅) 3〜4.5% 利回りは低いが空室リスクも低く、安定性◎
都心ワンルーム(築古) 4.5〜6.0% 利回り高めだが、管理状態や修繕歴に注意
一棟アパート(地方) 7〜10% 表面利回りは高いが、空室と修繕コストが重い
ファミリーマンション(賃貸中) 4〜6% 実需への転用や出口設計がしやすい、築年数・立地重視
利回りに騙されないための5つのポイント

✅ ① 「利回りが高い」=「優良物件」ではない
→ その利回りは“長く続くか?”を必ず確認
✅ ② 空室率は想定95%でシミュレーション
→ 満室想定は非現実的。1割の空室は常に起こり得る
✅ ③ 経費率は最低でも15〜25%は見込む
→ 管理費・修繕・広告費を入れると利回りは大幅に下がる
✅ ④ 実質利回りにローン金利を加味する
→ 返済後に手元に残るキャッシュフロー=真の収益
✅ ⑤ 売却時の想定価格も組み入れて“IRR”で判断できるとベスト
→ キャッシュフローだけでなく、資産性・出口価格も含めた総合利回りが重要
【まとめ】利回りだけで選ぶ時代は終わった?

利回りは、不動産投資における“体温計”のようなもの。
高ければ熱がある(収益性がある)ように見えるかもしれませんが、背景の原因を見抜かなければ判断を誤ります。
✅ 表面利回りは“広告用”と割り切る
✅ 実質利回り・NOI・CFで判断する習慣を持つ
✅ 「利回りで探す」のではなく、「戦略から逆算して利回りを考える」こと
収益不動産の価値は、数字の“裏側”にあります。
騙されないために、まずは数字の読み方から磨いていきましょう。



