
【はじめに】「移住ブーム」は続いているのか?

2020年以降、コロナ禍をきっかけに広がった「地方移住ブーム」。
在宅勤務の普及や混雑回避志向、住宅コストの圧縮を背景に、都市から地方への“人口の流れ”が話題となりました。
しかし2023年以降、「やっぱり戻ってくる人が多いのでは?」という声も聞こえる中で、 果たして地方移住は一過性の流行だったのでしょうか?
それとも、新しい暮らし方・投資戦略の選択肢として定着していくのでしょうか?
【データで見る】地方移住の動向

総務省「住民基本台帳人口移動報告」や、地方創生関連の統計をもとにした移住者数は以下の通り。
年度 移住希望者数(調査ベース) 実際の移住者数(転入者) 備考
2019 約4万人 約2.3万人 コロナ前の水準
2020 約6.4万人 約3.2万人 コロナ禍で急増
2021 約7.2万人 約3.6万人 テレワーク拡大
2022 約6.8万人 約3.5万人 微減も高水準維持
2023 約6.0万人 約3.1万人
徐々に“定常化”の兆しあり 注目すべきは、「完全な移住」だけでなく、2拠点居住や週末移住といった選択肢が増えている点です。
【地方移住のリアル】成功した人・失敗した人の違い

✅ 成功する人の特徴
職種がリモート対応可能(IT・企画・専門職など)
コミュニティに積極参加し、地域との接点を築いた
最初は「お試し移住」や賃貸でスタートした
⚠ 失敗しやすいケース
都市部と同じ感覚で住まいを購入し、通勤・買物・医療でギャップに苦しむ
子育て環境や教育環境に期待しすぎて、想定外の不満が出る
地域との距離感に悩み、「孤立化」してしまうケースも
移住先での生活満足度は、**「物件の広さ」よりも「仕事・人間関係・子育てのバランス」**に大きく左右されます。
注目されるエリアと選ばれる理由

移住希望者や実際の転入が多いのは以下のようなエリアです。
エリア 特徴・理由
長野県・山梨県
都心からのアクセス良好、自然と教育水準のバランスが◎
福岡県・佐賀県
コンパクト都市+郊外の利便性、空港アクセスも強み
広島県・岡山県
災害が比較的少なく、行政支援が充実
静岡県・愛知県郊外
東海道新幹線沿線での通勤圏、温暖な気候と安定インフラ
北海道・長崎県
地方創生プロジェクトや企業誘致との連動が盛ん
特に注目されるのは、「都市部から新幹線で90分以内の地域」や、「空港からのアクセスが良い地方中核都市」です。
【地方移住と不動産価格の関係】投資目線での可能性

地方移住に関連して不動産投資目線で着目すべき点は以下の通りです。
▶ 価格帯の魅力
東京のマンションが7,000万円〜1億円の中、地方では2,000〜3,500万円で広い戸建てが買える エリアによっては土地付き中古住宅が1,000万円以下で取得可能。
▶ 賃貸需要とのズレ 一部地域では「借りる人がいない」状態になることもあるため、出口戦略(転売 or 定住用)を明確に。
▶ 二拠点投資の検討余地 ワーケーション需要に合わせて、セカンドハウス貸出(短期賃貸/法人契約)という活用も増加傾向。
地方移住における3つの注意点

① ライフラインと医療・教育の確認
郊外ほど病院・学校・交通インフラが少ないため、生活圏の情報把握は必須
② コミュニティの“距離感”
地域によっては閉鎖的だったり、逆に「密なつながり」が負担になることも
③ 固定資産・維持コスト
築年数の経過した戸建ては、修繕費・除雪・草刈り等の維持コストが意外にかかる
【2025年以降の可能性】制度・社会変化から考える

✅ ポジティブ要因
国や自治体の「移住支援金」制度(最大100万円+α)が継続中
地方副業・テレワーク雇用の増加により、「地方で稼げる人」も増加傾向
2030年に向けたコンパクトシティ構想や、空き家利活用の政策支援
⚠ リスク要因 地域による「情報格差」
行政支援の差、物件情報の透明性不足
過疎地域での社会資本縮小(バス路線廃止・学校統廃合)
若年層移住者と高齢住民との価値観ギャップ
【まとめ】“生活の拠点”として地方をどう活かすか

地方移住は一過性のブームから、「人生設計のひとつの選択肢」へと定着しつつあります。
住まいの広さ、自然環境、教育・子育てといった生活の質
二拠点や週末移住といった柔軟なライフスタイル 中古再生・空き家活用を通じた新しい不動産戦略
「移住=人生を大きく変える選択」と捉えるのではなく、
「暮らしの選択肢を一つ増やすこと」と考えることで、より現実的かつ戦略的な地方活用が可能になります。



