退去トラブルを防ぐ「最初の契約」ポイント|原状回復・敷金返還でもめないための実務チェックリスト

【はじめに】退去トラブルの8割は“契約時”に起きている

「壁紙の傷、私がつけたんじゃないのに修繕費を取られた」
「敷金が全額戻ると思っていたのに、ほとんど返ってこなかった」

賃貸住宅における退去トラブルの多くは、実は“退去時ではなく契約時”に原因があります。
最初に“原状回復の範囲”や“修繕の負担条件”を確認しないまま契約すると、後でもめるのは当然です。

この記事では、入居前・契約前に押さえるべき具体的なポイントや確認方法を、実務目線でわかりやすく解説します。。

なぜ退去時にもめるのか?よくある3つのトラブル例

トラブル例 背景
壁紙や床の汚れで高額請求された 経年劣化かどうかの区別がつかず、借主負担にされた 敷金が全額返ってこなかった 「ハウスクリーニング代が差し引かれる」と説明されていなかった

修繕費用の明細が曖昧、見積もりが出ない 契約時に「負担区分」が曖昧なまま締結されていた

→ 多くのケースでは、「最初の契約書と説明」が不足していることが原因です。

「原状回復」とは?国のルールと現実のギャップ

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、借主が負担するのは“通常使用を超える損耗・破損”のみと定義されています。

✅ 借主が負担する例
故意・過失・不注意による破損
タバコによるヤニ汚れ・におい
ペット飼育による傷や臭い(未申告含む)

✅ 借主が負担しなくていい例
日焼けによる壁紙の変色
冷蔵庫裏の床のへこみ
使用年数相応のカーペット劣化

しかし現場では、ガイドラインと異なる運用がされていることも多いため、契約書がすべての基準になります。

トラブルを防ぐための「契約前」確認ポイント

チェックポイント 確認方法
敷金・礼金の定義と返還条件 「退去時に全額返還されるか」「ハウスクリーニング代は?」を明記

ハウスクリーニング費用の扱い 契約書の“特約”欄に記載されているか確認する

原状回復の範囲 「経年劣化・通常損耗は貸主負担」と記載されているか確認

設備の故障・修理対応 設備不具合の修繕義務が誰にあるか/修理対応のフロー確認

写真撮影の許可と記録の保存 入居前に状態記録(スマホ可)し、証拠として残す旨を共有

入居前チェックリストで“証拠”を残す重要性

契約書の文言だけでなく、入居時の室内状態を記録しておくことが重要です。

✅ 記録すべき箇所例
床(傷・へこみ) 壁紙(剥がれ・汚れ・画鋲穴) 窓・網戸(破れ・開閉の異常)
設備(給湯器・エアコン・換気扇の作動状態) 水回り(カビ・匂い・排水の詰まり)

→ これらはスマホで撮影し、仲介会社にメールで送付するだけでも十分な証拠になります。

契約書に記載すべき具体項目と確認方法

契約時には、以下の書面を必ず確認しましょう。

書類名 確認項目例
賃貸借契約書 敷金返還の条件、修繕費の負担区分
重要事項説明書 特約事項に「原状回復義務」が過度にないか
入居時チェックシート 設備・室内状態の記録、借主・貸主双方の署名があるか

→ 不明点は、「ここは借主負担になるのか?」と具体的に質問することがポイントです。

【まとめ】“借りる前”が“揉めない退去”の分かれ道

退去トラブルは、「知っていた」「書いてあった」だけで回避できます。

✅ ガイドラインに沿っているか?
✅ 記録・証拠があるか?
✅ 契約書に不利な特約がないか?

を確認することで、数万円〜十数万円の不本意な支出を防げる可能性があります。

家賃交渉や設備の確認も大事ですが、「どう出るか」だけでなく、「どう終えるか」を見越した契約を。
不動産賃貸では、“退去の準備は入居のときに始まっている”のです。

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